助成金申請

はじめに

当事務所では、労務管理や労働・社会保険の諸手続について顧問契約を頂いた事業所を対象に各種助成金の申請業務を代行しています。

助成金を受けるに当たっては、コンプライアンス(法令遵守)に即して雇用環境を事前に整備しておく必要があります。

具体的には賃金台帳、労働者名簿、出勤簿の法定3帳簿、就業規則(附属規程を含む)、労働条件通知書(雇用契約書)、36協定や変形労働時間制に関する協定など各種労使協定を備えるとともに、形式、内容とも法令基準を満たしていなければなりません。たとえば、有期労働契約の更新条項に不備がある、最低賃金法違反、残業代の全部または一部が支払われていない等は認められません。

また雇用保険の被保険者資格がある者については当初から資格を取得させること、労働保険料は正しく申告を行うこと、雇入れ関係の助成金受給に際しては、一定期間、事業主都合による退職者を出していないことなども求められます。

留意点

助成金は返済する必要がなく、会社の純利益になるというメリットの側面ばかりが強調されがちですが、受給の条件として、使用者に労務管理上、労働者の身分、雇用期間、賃金、労働時間等に関して一定のレベルアップや追加負担、制限を求められたり、雇用環境整備のため、従業員福利に資する施設・設備、サービスの購入、維持管理に相当額の経費支出を要するなど、即時あるいは恒久的な改善措置が課せられることが前提となっており、いわゆる国の政策目的に添った経営資源の配分と目標の達成が要求されます。

これらの趣旨について十分に納得が得られた上で、助成金受給の目的をあわせ持つ事業計画を立て、予算を割き、行動に移す場合は、社労士として業務を受託し、事前の協議にはじまり、施策の実施、効果の見極めや結果確認、支給申請へと、助成金獲得のため、一連の相談・指導と書類の作成等、申請手続を代行することになります。

ただし、助成金が顧問先にとってミスマッチと思われるケースでは、あえて受給要件の充足をお勧めしないこともあります。短期的な利益を追求したばかりに中長期的に過大な負担を強いられる可能性があるからです。むしろ導入を思い止まるようご案内するのが、士業者としての良心であり、務めでもあると考えています。

成功報酬を追い求め、耳障りのよいセールストークを繰り返す一部コンサルティング・ファーム等もあるようですが、自制心と注意が必要です。
当初の予定どおり助成金受給がかなえばまだしも、制度的義務や経済的負担を先に満たしておきながら、行政の窓口で求められた添付書類がそろえられず、また相談や指導にも乗ってもらえないまま、途中で放り出されたような事例も見聞きしています。当事務所が後始末に入り、トラブルシューターの役割を担ったことも何件かあります。

実務を通して感じたこと・・

一度、助成金を受給すると「次は何をもらうか」「何か他には?」と経済的利益ばかりに目が行きがちになりますが、あくまで臨時的な一時金として、その場しのぎの資金に過ぎないので無理は禁物です。

助成金の受給をめざすことにより、従業員の労働条件や職場環境の見直しにつながる切っ掛けになるという副次的効果も期待できるのですが、そこではやはり費用対効果、バランス感覚を意識することが大切です。

これからも会社が存続し、ゴーイングコンサーンとしての繁栄をめざすには、あくまでも本業での利潤があってこそですから、助成金収入を事業の柱に組み込もうとするなど、本末転倒にならないよう、経営者には慎重な舵取りが求められます。

その上で

助成金に関する情報については、厚生労働省のホームページをご参照になれば、最新の記事が確認できますので、どなたにもお勧めします。

操山労務管理事務所へ申請手続きの代行をご依頼の場合は、労務管理や手続に関する継続的な顧問契約を結んでいただく必要があります。ご希望の方はお問い合わせください。なお、料金は、特定求職者雇用開発助成金と雇用調整助成金については、受給額の10%、それ以外は20%を原則として取り扱っています。

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